隣の空き家から害獣が来ているように見えても、すぐに隣地へ入ったり捕まえたりしてはいけません。まずは日時・場所・写真を記録し、自宅側でできる対策と自治体への相談を並行します。
自宅敷地内から安全に確認できるのは、入口、餌、隠れ場所、移動の足場です。発生源や動物の種類は断定せず、「確認できた事実」と「隣家から来たと思う理由」を分けて残すと、相談が伝わりやすくなります。
動物にかまれてけがをした、自宅の居室に動物が入り人に危害を加えそう、発煙や火災が起きているなど、差し迫った危険がある場合は通常の行政相談を待ちません。
けがや体調不良は症状に応じて医療機関へ相談し、緊急なら119番へ連絡します。自宅に侵入した動物が人へ危害を加えそうなときは110番、火災は119番です。
- 自宅敷地内から被害の日時・場所・写真を記録する
- 入口・餌・隠れ場所・足場を安全な範囲で見直す
- 自治体の代表窓口から適切な担当課へつないでもらう
まず確認するのは入口・餌・隠れ場所・足場の4点
隣の空き家の対応を待つ間も、自宅側の環境は見直せます。害獣が近づく条件を、次の4つに分けて確認してください。
| 点検軸 | 見る場所 | 安全にできること |
|---|---|---|
| 入口 | 通気口・配管・軒下 | 地上から写真を撮る |
| 餌 | 生ごみ・ペットフード・果実 | 密閉して屋外放置をやめる |
| 隠れ場所 | 茂み・物置周り・資材 | 自宅敷地内を整理する |
| 足場 | 庭木・塀・雨どい周り | 地上で届く枝だけ整える |
屋根や高いはしごへ上る必要がある点検は、自分で行わないでください。外壁の穴や通気口を見つけても、動物が中にいないことを確認できない段階で完全に塞ぐのは避けます。
先に餌と隠れ場所を減らし、侵入口らしい場所は写真に残します。封鎖が必要なら、動物の有無と作業範囲を確認できる害獣防除業者や建物の修繕業者へ相談しましょう。
被害の記録は「確認できた事実」と「推測」を分ける
相談時に役立つのは、動物名を当てることよりも、同じ形式で記録を続けることです。無理に近づかず、次の順で整理します。
- 日時と場所:物音、足跡、糞、荒らされた物を見つけた時刻と位置
- 写真や動画:自宅敷地から撮れる痕跡、移動方向、壊れた箇所
- 実際の被害:ごみの散乱、作物被害、臭い、天井の音など
「午後11時ごろ、自宅の塀から空き家側へ動物が移動した」のように、見た事実を書きます。「空き家に住み着いている」は推測として分けておくと、原因を決めつけずに説明できます。
同じ場所を数日記録すると、時間帯や移動方向の傾向が見えます。写真は全体の位置関係が分かる1枚と、痕跡の大きさが分かる近景を、安全な距離から残すと伝達しやすくなります。

無断立入り・自力捕獲・早すぎる封鎖は避ける
隣地の問題を早く止めたいときほど、権限や安全を超えた作業はしないことが大切です。次の行動は避け、所有者や自治体、必要な専門家につなぎます。
- 所有者の許可なく空き家の敷地や建物へ入る
- 箱わなや粘着資材を置き、野生鳥獣を自分で捕まえる
- 動物が建物内に残る可能性があるまま、出入口を完全に塞ぐ
- 屋根、軒下、天井裏など転落・接触リスクのある場所へ入る
環境省は、許可を得るか狩猟者登録を受ける場合などを除き、野生鳥獣の捕獲は原則禁止と案内しています。対象動物や自治体の制度で扱いが変わるため、設置や捕獲の前に担当課へ確認してください。
糞や死骸にも素手で触れないでください。やむを得ず自宅敷地内を処理する場合は、自治体の案内を確認し、マスクと使い捨て手袋を用います。量が多い、場所が高い、動物種が分からない場合は作業を止めます。
市役所のどこに相談する?迷ったら代表窓口から担当課へ
担当課の名称は自治体によって異なります。ホームページで見つからないときは、市区町村の代表番号へ「近隣の空き家と害獣被害の相談」と伝え、担当課へつないでもらいます。
| 相談内容 | 担当の目安 | 伝えること |
|---|---|---|
| 空き家の管理 | 空き家・住宅・建築担当 | 住所と管理状態 |
| 野生鳥獣 | 環境・鳥獣・農政担当 | 目撃と移動方向 |
| ネズミ・衛生害虫 | 生活衛生・保健所 | 糞・臭い・発生場所 |
| けが・火災・人への危険 | 救急・消防・警察 | けがと現在の危険 |
同じ「害獣」でも、ハクビシンやアライグマなどの野生鳥獣と、家ネズミや衛生害虫では担当や制度が違う場合があります。最初の部署で対象外と言われたら、担当課名と次の連絡先を確認してください。
- 空き家の住所と、自宅との位置関係
- 被害を確認した日時・場所・回数
- 写真、動画、物音や臭いの記録
- 人身・建物・衛生面で困っている内容

行政に期待できること・できないこと
行政は、相談の受付、担当制度の案内、空き家所有者の調査や情報提供・助言を行う場合があります。福井市のように、空き家の所有者へ動物が住み着かないよう対策を促す例もあります。
一方、町田市のように、空き家の害獣や害虫を市が直接駆除しないと案内する自治体もあります。対応は地域や動物種で変わるため、捕獲器の貸出、補助、現地確認の有無を電話時に確認します。
- 相談した当日に現地確認や駆除が行われるとは限りません
- 所有者の氏名や連絡先、個別の指導状況は開示されない場合があります
- 捕獲や駆除の制度は自治体と対象動物ごとに確認が必要です
受付日、担当課、担当者名、伝えた内容、次に確認する日をメモしておくと、同じ説明を繰り返しにくくなります。被害が増えた場合は、新しい写真と記録を追加して再度伝えてください。
被害が続くときは自宅側の調査と所有者への働きかけを並行する
行政の連絡を待つ間も、自宅への侵入や衛生被害が続くことがあります。自宅内で物音、糞、かじり跡、天井の染みなどが見つかったら、被害場所に応じて害獣防除業者、建物修繕業者、電気工事業者へ調査を相談します。
依頼するのは自宅側の調査と対策です。隣の空き家へ入る作業は、所有者の許可なしに進められません。見積もりでは、調査範囲、追い出しや封鎖の順番、清掃、再発時の条件を分けて確認してください。
空き家所有者の連絡先を知っている場合も、推測だけで責任を決めつけず、確認できた被害を文書で伝えます。直接のやり取りが難しいときは、自治体の空き家担当や法律相談など、状況に合う第三者窓口を確認しましょう。
隣の空き家と害獣相談で迷いやすい3つの点
市役所は害獣を無料で駆除してくれますか?
判断点を先に確認します。自治体と動物種によって異なります。相談、所有者への助言、制度案内を行う一方、市では直接駆除しない自治体もあります。担当課へ支援内容と費用の有無を確認してください。
空き家の所有者を教えてもらえますか?
個人情報のため、自治体から氏名や連絡先を教えてもらえない場合があります。ただし、自治体側で所有者を調査し、管理や対策を促す例はあります。
隣の空き家が原因と証明できなくても相談できますか?
原因を断定せず、確認できた日時、場所、写真、移動方向、実際の被害を伝えて相談します。記録が増えたら追加提出できるよう、日付順に保管してください。
まず記録をそろえ、自治体の代表窓口へ相談する
判断点を先に確認します。隣の空き家から害獣が来る疑いがあるときは、隣地へ入らず、自宅敷地内から被害を記録します。同時に、入口、餌、隠れ場所、足場を確認し、安全な範囲で環境を整えてください。
記録がそろったら、空き家の住所と困っている内容を自治体の代表窓口へ伝えます。行政が直接駆除するとは限りませんが、担当制度や所有者への働きかけを確認する出発点になります。

