自宅でコウモリを見つけても、手で捕まえたり傷つけたりしてはいけません。野生のコウモリは鳥獣保護管理法の対象で、無許可の捕獲・殺傷は原則禁止です。
最初にするのは、コウモリから距離を取り、見つけた場所と時刻、出入りの様子を記録することです。フンがあっても素手で触れず、屋根や天井裏へ入って確かめるのは避けましょう。
追い出しや侵入口の封鎖は、捕獲・殺傷を伴わず、建物内に個体を残さないことが前提です。居残りや幼獣の有無を確認できない段階では、隙間をすぐ塞がないでください。
室内に1匹だけ迷い込んだ場合と、屋根裏や壁内に住み着いた場合では対応が異なります。まず状況を切り分け、必要なら都道府県や市町村の鳥獣行政担当、コウモリ対策を扱う業者へ確認します。
まず確認|コウモリを見つけたときの初動3つ
最初は「触らない・捕まえない・すぐ塞がない」の3点を守ります。見るサイン、避ける行為、次の確認を表で整理してください。
| まずすること | 避ける理由 | 次の確認 |
|---|---|---|
| 触らず離れる | 接触と捕獲を避ける | 場所・時刻を記録 |
| 捕まえない | 無許可捕獲のおそれ | 地域窓口へ確認 |
| すぐ塞がない | 閉じ込めを避ける | 出入りを安全に確認 |

写真は離れた安全な位置から撮り、屋根へ登ったり天井裏へ入ったりしない範囲に限ります。コウモリが弱っている、落ちている、近づかないと出口を作れない場合は、自分で動かさず窓口へ状況を伝えます。
コウモリは鳥獣保護管理法の対象
鳥獣保護管理法は、「鳥獣」を鳥類または哺乳類に属する野生動物と定義しています。コウモリは空を飛びますが鳥ではなく哺乳類なので、野生個体はこの法律の対象です。
同法では、狩猟による場合などを除き、鳥獣の捕獲や殺傷を原則として禁止しています。被害防止など一定の目的で捕獲が必要な場合は、環境大臣または都道府県知事の許可が関係します。
自治体によっては、捕獲許可の権限の一部が市町村長へ移されています。そのため、許可の要否や申請先は全国一律に決めつけず、被害場所を管轄する地域の担当課で確認する必要があります。
自宅や自分の敷地にいることだけを理由に、自由に捕まえたり処分したりできるわけではありません。所有地かどうかと、野生鳥獣を捕獲・殺傷できるかは分けて考えましょう。
法律上できること・できないことの境界
判断の軸は、コウモリを逃げられない状態にするか、傷つけるか、建物内へ閉じ込めるかです。「駆除」という呼び方ではなく、実際に行う動作で確認します。
自分で確認できる範囲
安全な場所から状況を観察し、相談に必要な情報を残すことは、捕獲そのものではありません。無理に近づかず、次の範囲から始めます。
- 室内か、軒下・屋根裏・壁内かを見分ける
- 出入りを見た時刻と場所を写真やメモに残す
- フンや鳴き声が続く場所を、地上や室内の安全な位置から確認する
フンの清掃は、個体がいないことを確認してから考えます。広い範囲にたまっている、天井裏へ入る必要がある、素手で触れた可能性がある場合は、自分で作業範囲を広げない方が安全です。
自己判断で避ける行為
次の行為は、捕獲・殺傷に当たるおそれや、個体を建物内へ閉じ込める危険があります。家の中であっても、思いつきで試さないでください。
- 粘着シート、網、箱などで逃げられない状態にする
- 殺虫剤や道具を使って傷つけたり、弱らせたりする
- コウモリが残っている可能性がある隙間を塞ぐ
- 捕まえた個体を飼う、運ぶ、別の場所へ放す
- 屋根へ登る、狭い天井裏へ入るなどの高所・閉所作業をする
忌避剤も、「捕獲ではないから何でも使える」という意味ではありません。対象場所と使用方法を製品表示で確かめ、個体へ直接噴射する、逃げ道をなくす、換気できない場所で使うといった方法は避けます。
追い出しと封鎖は「中に残さない」順番
追い出しと封鎖は、順番が重要です。封鎖は、外へ出たことを確認してから進めます。先に出口を塞ぐと、個体が室内側へ移動したり、飛べない幼獣が残ったりする可能性があります。
室内に1匹だけ迷い込んだ場合
室内を飛んでいる1匹なら、まず人やペットを別室へ移し、コウモリに近づかないようにします。安全に開けられる窓や扉があれば、外への出口を確保して静かに離れます。
手でつかむ、布や道具で叩く、箱へ追い込むことは避けます。自力で飛び立たない、昼間に床へ落ちている、けがが疑われる場合は、素手で動かさず自治体の案内を確認してください。
屋根裏や壁内に住み着いた疑いがある場合
同じ場所で出入りを繰り返す、軒下にフンがたまる、壁内や天井裏から音が続く場合は、1匹の迷い込みではなく住み着きの可能性があります。侵入口を決めつけず、次の順で整理します。
- 地上や室内の安全な位置から、出入り・フン・音の場所を記録する
- 追い出し方法、作業範囲、個体が出たことの確認方法を決める
- 建物内に残っていないと確認できた後で、必要な侵入口を塞ぐ

幼獣や居残りの可能性を自分で判断できない場合は、封鎖へ進まないことが大切です。「この月なら大丈夫」と月だけで決めず、地域の状況を自治体またはコウモリ対策を扱う業者へ伝えて確認します。
無許可捕獲の罰則と許可の確認先
鳥獣保護管理法第83条では、第8条に違反する捕獲などについて、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を定めています。現在の法令用語は「懲役」ではなく「拘禁刑」です。
ただし、罰則は行為や許可の有無など個別の状況に応じて判断されます。「少し捕まえるだけなら大丈夫」「自宅だから対象外」と考えず、捕獲が必要に見える時点で許可の要否を確認してください。
最初の確認先は、被害場所の都道府県または市町村にある自然環境、農政、鳥獣対策などの担当課です。自治体は相談や制度案内を行っていても、家庭の駆除作業まで実施するとは限りません。
捕獲が必要と説明された場合は、申請先、対象種、頭数、期間、場所、方法を確認します。業者へ依頼する場合も、捕獲を含むなら、誰がどの許可に基づいて行うのかを見積もり前に聞きましょう。
自治体・業者へ相談する前に記録すること
「コウモリがいる」だけでは、迷い込みか住み着きか、捕獲が必要かを判断しにくくなります。安全な範囲で次の情報をそろえると、窓口や業者へ状況を伝えやすくなります。
相談時に伝える記録
- 見つけた場所、日付、時刻、室内か屋外か
- 1匹だけか、同じ場所で出入りを繰り返しているか
- フン、鳴き声、汚れを確認した位置と写真
- 素手で触れた可能性、弱った個体、幼獣らしい個体の有無
- 高所作業、天井裏作業、封鎖が必要になりそうな場所
業者の見積もりでは、調査範囲、追い出した確認方法、封鎖する隙間、清掃・消毒の範囲、追加費用、損害保険の加入状況を比べます。「捕獲」「全滅」といった説明が出たら、許可の要否も確認します。
まとめ|捕まえず、状況を記録してから次の対応を決める
判断点を先に確認します。コウモリは野生の哺乳類として鳥獣保護管理法の対象です。自宅内であっても、無許可の捕獲・殺傷は原則としてできません。
見つけた直後は、触らない、捕まえない、すぐ塞がないの3点を守り、場所と時刻、出入り、フンの位置を記録します。追い出しと封鎖は、建物内に残っていない確認を挟んで進めます。
捕獲が必要に見える、幼獣や居残りを判断できない、高所や天井裏の作業になる場合は、作業を始める前に地域の鳥獣行政担当へ許可の要否を確認してください。業者には記録を見せ、作業と許可の説明を比べましょう。

