天井裏で物音がする、床下から異臭がする。こうした害獣被害の根本原因は、建物のどこかに必ず侵入口が存在することです。一時的な忌避剤や追い払いだけでは問題は解決しません。
一般的に、害獣対策の基本は「物理的に侵入経路を塞ぐこと」とされています。しかし、素材選びや施工の順序を誤ると、短期間で再侵入を許してしまうケースも少なくありません。
この記事では、DIYで実践できる侵入口封鎖の方法を、適切な素材選びから施工のコツ、よくある失敗パターンまで具体的に解説します。
もくじ
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まず押さえるべき侵入口の3つのゾーン
害獣の侵入口は、住宅の構造上特定のゾーンに集中しています。メーカーや専門業者の調査によると、代表的なのは以下の3箇所です。
- 外周部|外壁と基礎の取り合い、増改築時の接合部
- 屋根周り|軒先、屋根と外壁の隙間、換気口
- 床下・基礎回り|基礎通気口、配管貫通部
ネズミの場合、幼獣であれば約1.3cmの隙間からでも侵入可能とされています。一方、ハクビシンやアライグマといった中型害獣は、劣化した部分をこじ開けて穴を拡張する傾向があります。
侵入口を特定するには、フンや足跡、引っかき傷といった痕跡を手がかりに、この3ゾーンを重点的に点検することが有効です。
封鎖素材の選び方|金網とパテが最適解
侵入口を塞ぐ素材には、耐久性と施工のしやすさの両面が求められます。業界団体や専門業者の実務経験から、以下の組み合わせが推奨されています。
金属材料が恒久封鎖の基本
ステンレス製の溶接金網やパンチングメタルは、害獣が噛みちぎることができないため、恒久的な封鎖に適しています。
一般的に、目の細かさは15mm以下のメッシュが推奨されます。特に屋根周りや換気口など、風雨にさらされる箇所ではステンレス素材を選ぶことで、錆による劣化を防げます。
防鼠パテとの併用で隙間を完全に埋める
金網だけでは微細な隙間が残る場合があります。そこで効果的なのが、防鼠パテや充填材との併用です。
パテには害獣が嫌う成分が含まれており、金網と組み合わせることで、より確実な封鎖が実現します。ただし、パテ単独では柔らかいため、大型害獣に破られるリスクがあります。必ず金属材料と組み合わせて使用してください。
避けるべき素材(軽量ネットと木材)
一方、軽量な防獣ネットや木材のみの封鎖は、応急処置としては有効でも、恒久対策には不十分です。
農業分野の防獣資材に関する解説でも、大型個体に破られやすいことが指摘されています。コストを抑えたい気持ちは分かりますが、再施工になればかえって費用がかさむため、最初から適切な素材を選ぶことが重要です。
失敗しないDIY施工の3ステップ
素材選びと同じくらい重要なのが、施工の手順です。ここを間違えると、せっかくの封鎖が無駄になります。
ステップ1|追い出しを必ず先に行う
最も多い失敗が、屋内に害獣が残った状態で封鎖してしまうケースです。
閉じ込められた個体は、死骸となって悪臭や衛生被害を引き起こします。一般的に、物音や痕跡が確認できなくなってから数日間は様子を見て、完全に退去したことを確認してから封鎖作業に入ります。
ステップ2|周辺一帯を同時に塞ぐ
もう一つの典型的な失敗は、目立つ1箇所だけを塞いで満足してしまうことです。
害獣は別の侵入口を探し出す能力が高く、近くに隙間が残っていれば、そこから再侵入します。政府マニュアルでも、防護柵の隙間残存が侵入要因になると明示されています。
侵入口候補となる箇所は、周辺を含めて一度に封鎖することが鉄則です。
ステップ3|施工後の定期点検を怠らない
封鎖したら終わり、ではありません。
台風や大雨の後など、負荷がかかった際には金網のズレや固定部の緩みが生じることがあります。農水省の被害防止マニュアルでも、定期点検と速やかな補修の重要性が強調されています。
数ヶ月に一度、封鎖箇所を目視で確認する習慣をつけましょう。
安全面と費用の目安
DIYで侵入口を塞ぐ際には、衛生面への配慮も欠かせません。
害獣のフンや尿には病原体が含まれている可能性があるため、厚生労働省の生活衛生ガイドラインでは、マスク・手袋といった防護具の着用が推奨されています。
また、材料費については、小規模な封鎖であれば1,000〜3,000円程度から始められますが、箇所数が増えればそれに応じて費用も増加します。
一方、専門業者に依頼する場合は数万〜数十万円規模となりますが、侵入口調査、清掃、保証などが含まれます。被害の規模や建物構造、高所作業の有無などを考慮して、DIYと業者依頼を使い分けることが現実的です。
なお、特定外来生物など一部の害獣については、捕獲や処分に法的規制があります。自治体によっては支援制度もあるため、事前に確認しておくと安心です。
まとめ:適材適所の封鎖で再侵入を防ぐ
害獣の侵入口封鎖は、忌避剤や罠といった対策よりも優先度の高い基本対策です。
重要なポイントを整理すると、以下の通りです。
- 侵入口は外周・屋根・床下の3ゾーンに集中している
- 恒久封鎖には金網とパテの併用が最適
- 追い出し→周辺一帯の同時封鎖→定期点検の順序を守る
- 柔らかい素材のみでは短期間で破られるリスクが高い
適切な素材を選び、正しい手順で施工すれば、DIYでも十分に効果的な封鎖が可能です。再侵入を防ぎ、安心して暮らせる住環境を取り戻しましょう。

