ホームセンターでシロアリ駆除の薬剤を見かけて、「自分でやれば安く済むかも」と考える方は少なくありません。
しかし、床下での薬剤散布は想像以上に難しく、リスクも高い作業です。表面的な処理だけでは根本解決にならず、かえって被害を拡大させてしまうケースもあります。
この記事では、DIYでシロアリ駆除を行う際の具体的な落とし穴と、プロの施工との決定的な違いを解説します。
もくじ
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なぜ自分では届かない?床下施工の到達範囲
シロアリ駆除で最も重要なのが、薬剤を必要な場所すべてに行き渡らせることです。
ヤマトシロアリやイエシロアリは、土壌と木材を行き来しながら蟻道を形成し、被害は目に見えない内部で進行します。表面に被害が出た時点で、すでに床下全域や構造材の奥深くまで広がっている可能性が高いのです。
市販の薬剤を使った表面散布では、床下の奥部や土壌の深い層まで均一に処理することは困難です。一方、専門業者は高圧注入機や穿孔注入機器を使い、木材内部や土壌深部まで薬剤を到達させる技術を持っています。
この「到達範囲の差」が、再発率に直結します。
床下作業に潜む物理的リスク
床下は、一般の方が想像する以上に過酷な環境です。
狭く湿度の高い空間を這いながら作業するため、以下のようなリスクが伴います。
- 釘や配管による怪我
- 夏場の熱中症
- 粉じんや薬剤の吸入
- 閉所での体調不良
特に古い住宅では、建材にアスベストが使われている可能性もあります。防護服やマスクを着用せずに作業すれば、健康被害につながる恐れがあるのです。
見えない失敗|薬剤選びと散布方法の落とし穴
シロアリ駆除で使う薬剤には、予防用(忌避性)と駆除用(非忌避性)があり、目的によって使い分けが必要です。
忌避性の薬剤は、シロアリを遠ざけることを目的としています。しかし、すでに被害が発生している状況でこれを使うと、シロアリが別の経路へ移動し、かえって被害範囲が拡大するリスクがあります。
一方、非忌避性の薬剤(イミダクロプリドやフィプロニルなど)は、接触した個体が薬剤を巣へ持ち帰り、コロニー全体へ波及させる仕組みです。
さらに、土壌処理では一定間隔・深度での注入が推奨されており、ムラがあると未処理部位が残ります。均一な散布と適切な注入深度の管理には、構造の理解と経験が不可欠です。
プロ施工との決定的な違い
| 項目 | DIY | プロ施工 |
|---|---|---|
| 施工範囲 | 表面・手の届く範囲のみ | 床下奥部・土壌深部まで対応 |
| 診断精度 | 被害範囲の判断が難しい | 種別判定・構造材診断が可能 |
| 費用 | 数万円程度 | 数十万円規模 |
| 保証 | なし | 3〜5年程度の保証が一般的 |
| 再発リスク | 高い | 低い(適切施工の場合) |
専門業者は、シロアリの種類の判別、構造材の被害状況、漏水などの環境要因まで総合的に診断します。この診断精度の差が、施工後の効果を大きく左右します。
また、プロは日本しろあり対策協会の認定薬剤を使用し、施工後には数年間の保証を付けるケースが多いです。初期費用は高額ですが、再発リスクや追加費用を考えると、長期的にはコストパフォーマンスが高いといえます。
DIYとプロ、どう線引きすべきか
すべてのケースでプロに依頼する必要はありません。判断の目安は以下の通りです。
DIYでも対応可能な範囲
- 被害が確認されていない予防処理
- 限定的な範囲への予防的な散布
プロに依頼すべきケース
- 蟻道や羽アリを確認した
- 木材に空洞化や変色がある
- 過去に再発した経験がある
- 床下の環境が悪い(湿気が多い、通気不良など)
明確な被害がある場合は、コロニーの根絶が必要です。表面処理だけでは一時的に姿が消えても、根絶したわけではありません。
まとめ:点検から始める賢い選択
シロアリ駆除のDIYは、初期費用を抑えられる魅力がある一方で、到達範囲の限界・作業リスク・薬剤選定の難しさという大きな落とし穴があります。
最も重要なのは、現在の被害状況を正確に把握することです。
まずは専門業者による点検を受け、被害の有無や範囲を確認してから、DIYで対応できるのか、プロに任せるべきなのかを判断しましょう。
「安く済ませたい」という気持ちは理解できますが、不完全な処理で再発すれば、修繕費用も含めて結果的に高くつく可能性があります。
適切な判断で、大切な住まいをシロアリから守りましょう。

